セイコータイムスタンプ活用例
やっててよかったタイムスタンプ
- 昔読んだエジソンの伝記に電話の発明の話があって、「ちょっとの差で負けた」って書いてありましたよ。
これは、そんな時タイムスタンプを取っておくと特許がとれるっていうことなんでしょうか。だったら凄いです。 - 違います!違います!違いまーす!
- そんなに否定しなくても・・・。
- ここはちゃんと否定しておきなさいって、法務部からきつく言われてるんですっ!
- それはなんででしょう?
- アメリカでは、特許は、先発明主義というやり方で認められるので、特許出願手続きをしていなくても、先に発明したことが証明できれば、事後でも特許権を認められるんだよ。
だから、研究者は、研究ノート(ラボノート)のようなものを記入して、いつ発明が出来上がったのかを証拠として残していくようなことをやっているんだとさ。
とはいっても、今では研究者もパソコンを使って記録を残しているわけだから、紙のノートに頼るわけにはいかないよな。 - それで、電子的なファイルに時刻認証ができるタイムスタンプを使うっていうことなんですね。
でも、それは先発明主義をとるアメリカでは有効、ということ? - 先発明主義をとっているのはアメリカだけで、それ以外のほとんどの国は先願主義をとっているんだ。
それは、特許庁に出願をしたのがどちらが早いかで誰の特許かが決まる。
だから、タイムスタンプがあってもなくても特許庁での受付時刻次第っていうことだ。 - じゃあ、“あんまりいらなかったタイムスタンプ”になっちゃうじゃないですか。
- ちょっと待って、待ってー!確かに、特許自体は出願順なんだけど、そうすると「特許が取れると思わなくて出願してませんでした」とか「特許を出したくなかったので出願しませんでした」っていう人がいた時に困ることがある。
- そんな面倒なことを考えずに特許取ってください。
- 簡単に言うけど、特許を出願して権利化するまでに1〜2年は普通にかかったりするし、そもそもそのための手続きとか審査とかで結構な作業になったり、特許を取ったら取ったで毎年特許料を払わないといけなかったりと。いろいろ大変なんだよ。
(何度拒絶通知を受けて苦悩したことか・・・・(T_T))。 - 結構大変なことなんですね。
- それ以外にも、特許を出願すると技術が公開されてしまう、という点がある。
- 特許を取れば誰もマネができないんだから、それでいいじゃないですか。
- いやいや、たとえば、公開された情報を基に、うまく特許請求された技術を外して同じような製品を作れるかもしれない。
コロンブスの卵と一緒で、最初にアイデアを出すのは難しいけど、それを真似るのは簡単だからね。 - ふーん。
- (ふーんって・・・)
- それだけじゃなくて、特許には有効期間が決まっていて、それは20年なんだ。
- 20年だったら十分じゃないですか?
- そうとも限らないよ。特許を取っても20年後には誰でも自由に使えるようになってしまう。
でも、特許出願せずに、ずーっと公表しないで秘密にしておけば、何十年でも自分だけが使える技術になるわけだよね。 - 一子相伝みたいな?
- そうそう、そういうこと。でも、そうやって出願していないでいたら、誰かがたまたまその技術を発明してしまって、特許出願してしまったらどうなるか。
- それはそっちの人の特許になってしまうから、もう使っちゃいけないんでしょ?
じゃあやっぱり特許出願しておかないとダメじゃないですか。 - そうすると、とにかく何でもとりあえず特許を出願しておけってことになってしまって、特許出願費用をあまり出せない中小企業なんかは不利になるわ、秘密にとっておくこともできなくなるわ、であまりいいことがない。
そのために、先使用権制度という、特許を誰かに先に出願されてしまっても、それ以前に自分たちが同様の発明を実施または実施準備していたことが証明できれば、特許内容を無償で使用できる制度があるんだ。 - もう少し詳しく説明してください。
- ・・・詳しいことは「先使用権ガイドライン」でググってみてよ。
ともかく、先使用権を立証できれば、特許を取られても大丈夫なわけ。
だけど、先使用権を主張するには、さっきのアメリカの先発明主義と同じように、発明があったことや事業化をしようとしていたことを自分で証明する必要があるから、研究ノートとかの出番がまた出てくるわけだ。 - あー、そこでようやくタイムスタンプの出番ということですか。
- 日頃の研究記録とかデータとか、事業化の企画書とか、顧客と販売契約書とか、そういうモロモロの記録が必要になるらしいよ。
- らしい?
- 結局、その記録が妥当かどうかを判断するのは裁判官だからね。
裁判官が、これなら問題ない、と思ってくれる証拠情報が必要なんだ。 - 日々の記録をまめにとっておかないといけないから、簡単に記録日時と内容を客観的に証明できるタイムスタンプサービスが便利。
やっててよかったタイムスタンプ!ってことですね。 - ・・・それ僕が締めで言いたかったんだけどな。
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